もしも…あの時…ですよ。
もしもあの時の、フォークダンスで…
『こーゆー時は、ちゃんと女の子の手を握らないと、女の子に失礼なんだからね…』
それを間に受けた方が良かったのか…。
よく…
『恋愛結婚ですか?…それとも、お見合いですか…』
なんて、やり取りがある。
いやいや…
実際には…僕は、そんな話はしない。
昭和の映画や、テレビドラマなどで見た事があるだけだが…。
僕の考えでは…
恋愛結婚であろうが、
お見合い結婚であろうが、
そもそも事の起こりは、片恋であるに違いないと思う。
『私達…恋愛結婚なんですぅ…』
なんて…お惚気まじりに、言う馬鹿者がいるようだが、全く間違っている。勘違いも甚だしい。
最初から相思相愛?…そんなのは…淫乱だ!…間違っている、恋じゃない!…イッツ ノット ラブ!
かと思えば…
『いやぁ…恋愛結婚だなんてそんな…私達は、お見合いなんですよ…』
などと、恥ずかしそうに…
しかもそれを(お見合い)恥じているような言い方をする。
間違っている!
何もかもが、誰がなんと言おうとも…
始まりは、片恋である。
出会った時から、相思相愛なんてあり得ない。
お見合いだってそうだ。
『私、気乗りがしないわ…お母さんから上手く叔母さんに、断ってちょうだい』
(この場合、お見合いの話を持って来たのは、叔母さんである)
なんて言っても、見合い相手の男の方が承知しない。
こんな事は、多々ある。
逆もあるかも知れない。
つまり…
男は、貴女に片恋をしたのです。
(又は女は貴方に)
片恋こそ、恋の始まりなんです。
ちょっと脱線したが…
あの時に手を握っていたら…
いやぁ…僕達…結構いい線いっていたと思うんだけどなぁ。
だいたい彼女…
何度も書いているが、本当にこんな感じの娘だった…気がする。
『えっ…なに?…』
手を握ろうとする僕に驚く彼女…
『いゃ…その…フォーク…ダンスの時…おんなの子の手を…にぎらないのは…おんなのこに、失礼…かなって…』
『ふふっ…いいわ…よ』
含み笑い…ちょっと頬が赫らむ。
『は…はぁ…じゃぁ』
キュッ…
『いたっ…そんなに強く握っちゃ、いたいわ…』
『ご…ごめっ…』
なんて感じで。
(ちょっと情け無いが、中学生の片恋の初恋なんてこんな感じがいい)
上手くいってたかも知れない。
そー思うと、もしもの世界だなぁ。
片恋 片恋…
馴れ初めは、全て片恋である。